五月に或る人は言った。(仮)  -138ページ目
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母 ―『デミアン』に拠って―

私には母がいる。
私は生まれてから今まで、一度も母と離れたことがない。比喩的な意味で。
母は、優しくて怖くて率直で、
私を抱きしめてくれる。
母は私に必要な存在。
たとえ反抗していても、母に褒められれば、励まされれば、やはり嬉しい。
それが、`母親の力´なのだろう。
人は成長すると母親の背後に、全てを司り、飲み込み、護ってくれるような、
`大いなる母´を見出して、それを拠り所に安定してゆくのではないか。
私には、母の中からそれを見出す力がない。
ヘッセの『デミアン』で、主人公ジンクレエルが
最後に見つけるのが、`大いなる母´。
長いあいだ、悩み苦しみもがき、自分自身の内部を見つめ足掻いた彼の、
恋人であり、兄弟であり、母であった、「エヴァ夫人」。
そして、ジンクレエルと、ジンクレエルの内なる眼というのか、
そういうものを開かせてくれた友達、デミアンと、
エヴァ夫人は、しばらく平和に暮らす。
でも、`戦争´という不幸が、三人をバラバラにしてしまう。
ジンクレエルとデミアンが別れる時のデミアンの台詞。
「 (略) きみはたぶん、いつかまた、
ぼくを必要とすることがあるだろうね――クロオマアやなんかに対してさ。
そうなってぼくを呼んでも、ぼくはもうそんなとき、そう手がるに、
馬にのったり、または汽車にのったりして、きはしないよ。
そんなときはね、きみ自身のこころに耳をかたむけなければいけない。
そうすればぼくがきみのこころのなかにいるのに、
気がつくよ。――わかるかい。
それから、まだ言うことがある。エヴァ夫人が言ったんだが、
きみがいつかこまるようなことがあったら、そのときは、夫人からのキスを、
ぼくがきみにしてあげるようにってさ。
そのキスをぼくは夫人から渡されてきたんだよ。・・・・・・目をつぶりたまえ。ジンクレエル。」
このように、言ってくれ、してくれる人を、
心の中に持つだけの度量が私に備わったら、
私は、その人を通して、私は私の本当の母の中に、
`大いなる母´を見出すことができるのだろうか。
ぼくが、ときおりかぎを見つけて完全に自分自身のなかへ――暗いかがみのなかで、
運命的な映像のまどろんでいるところへ、おりてゆけば、そうすればぼくは、
その黒いかがみのうえに身をかがめるだけで、
ぼく自身の映像が見られるのである。――もうまったくかれに、
ぼくの友だち兼みちびき手であるかれに、そっくりそのままの映像が。
そしてまた、`大いなる母´を自分の中に住まわして、
このように自分で自分を支えることが出来るように、なるのだろうか。
わからない。
参考------------------------
『デミアン』
ヘルマン・ヘッセ 
岩波文庫
ほかにも、得たことはたくさんあった。

強い人

強い人が好き。

小学校一年生くらいの小さい頃から、強い人が好き。

その気持ちを明確な言葉や思考に昇華できたのは最近だけれど。


堅固な意志、真に優しい言葉、包容力・・・、

そんな、私は持っていないけれど渇望しているものを持っている人を、

それがどのようなタイプの人であっても、

私は好きで、尊敬していて、畏れている。

私の憧れ。


けれどそれ以前に、そんなもの無くても、

無条件で惹きつけられて、

内心ではその人に対して、

抗いも壁も無くしてしまう、そんな、`強さ´を持った人を

私はすぐに見つけられる。

それが多分、唯一の特技。


喋りがたどたどしくても、リーダーシップが取れるような人でなくても、

めちゃめちゃに優しくなくても、忘れっぽくても・・・

そんなことはどうでもいい。

 `強い人´とは、どれだけ騒ぐのがすきでも、ちゃらちゃらしていても、

甘えんぼに見えても。

どんな欠点があろうと、

それを簡単にカバーできるほど、

自分の根幹が揺らいでいない、そんな人。


格好良いと思う。

私は、そんな風になれなくて、

いつも何かに怯えていて。


変転していくことは良いことだと思うからこそ、

私はいつも惑い、勝手に傷つき、弱い自分を変えようとして失敗している。

それは、大変だけど、大切なこと。


わかってる。

傷ついて変わって行ったって良いってことは。



けれど、いつも切実な問いが消えない。


どうしたら強くなれますか。



はじめまして。

はじめまして。ゆめと云います。

現在、此処 でブログをやっているのですが、

アメーバブログは機能が多く便利そうだなと感じたのと、

良いブロガーさんが多く、その方たちとのリンクを

楽にできるようにしたいなーと思っていたので、

アメーバブログを始めることにしました。

ただ、アメーバブログは重いらしいので、

消えても良いように古いブログも使っていきます。

記事内容は同じだと思います。

宜しくお願いします。

写真



五月に或る人は言った。(仮)-石神


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